いよいよこの時が来ました。
かねてより噂されていた、JMU舞鶴事業所における商船建造の撤退です。
https://www.jmuc.co.jp/press/docs/Maizuru_structural_reform.pdf
~お品書き~
JMU舞鶴事業所とは
まずは、以前使用したJMUの設備規模を見ていきましょう。
このように、JMUには現在舞鶴のほか呉、有明、津の4工場で商船を建造しております。
ちなみに、横浜は基本艦船や巡視船など官公庁船を主体に建造しており、一部でフェリーの建造も行っております。なお、因島は修繕専用工場です。また、このほかフローティングドックという設備を有してますが、今回は除外します。
さて、今回の主役である舞鶴はドック2基を有する工場で、新造、修繕で1基ずつの構成です。2018年の竣工は6隻で、だいたい2か月で1隻進水している程度ですね。上画像のように、真横に海上自衛隊舞鶴基地がありますので修繕設備としては最適な立地です。
また、下画像のように設備規模は小ぶりで、建造船も中型船が主です。
撤退後はどうなるのか
撤退後の舞鶴
舞鶴を商船事業から撤退させるということで、まず考えられるのは、この設備の使い道でしょう。この新造船ドックは①修繕用に変更、②海洋構造物の建設施設として他社に売却、③埋め立てし工場設備とする、などが考えられます。
おそらく、①のドックをそのまま残し、修繕用に変更する、になると思います。というのも、JMUは今治造船などの民間企業と異なり、政府との関わりが強力です。護衛艦や掃海艇、巡視船などの建造も手掛けている手前、国防上重要な拠点である舞鶴のドックが減るのは国としても問題です。
特に、建造ドックを修繕ドックに変更するのは多々ある事例です。建造も修繕も、ドックそのものはほとんど違いありませんからね。
なので、おそらくは舞鶴を修繕ドック2基体制の官公庁船専用工場にすると思われます。
中型船建造拠点の喪失
では、中型船建造の拠点であった舞鶴を失ったJMUは、今後中型船建造をどうするのか。ここに登場するのが、先日のJMUと今治造船の提携でしょう!
というのも、JMUの設備は基本的にはVLCCなどの超大型船建造を目的に作られたドックです。これは、JMUが大手重工業企業3社の設備を受け継いだ企業であるためです。
一方、今治造船は船のデパートを目指すとしていますが、その建造主体はやはりバルク船。それも、小型から大型船までのすべてのサイズを建造しておりますが、竣工数が高いのは中型~大型船です。
舞鶴ではプロダクトタンカーの建造も行ってますが、今治造船グループにもこのタイプの船の建造に強みのある企業が含まれてます。
なので、今回の舞鶴撤退は今治との提携が出来上がったからとも考えられますね。
JMU-MHI-IS
さて、今回のJMU舞鶴の商船事業撤退ですが、これによりJMUは大型船に特化した建造が可能となります。一方で、受注した中型船も今治造船に製造委託することで対処可能となりました。
一方の今治造船サイドにしても、VLCCなどの高い技術力を有するJMUの技術を得られ、また建造実績も増やせることが可能です。
そして、もしもJMUが建造しきれない量のロット受注を受けた場合、今治に建造を手伝ってもらうことも可能となります。これは、今治造船が大型ドックを有するようになったためです。将来的には、共同営業設計会社の設立を視野に提携しているので、日本造船グループのような形になることでしょう。
一方で、三菱と今治の提携状態については、あまり大きな変化が見られません。JMUとはLNG船を除く提携を行っているため、MI-LNG社は今後も継続されるのでしょうが、いったいどうなるんですかねぇ……。
今後の造船業がどうなるのか、楽しみですね!
それでは
コメント
[…] JMU国内再編 舞鶴から商船撤退へいよいよこの時が来ました。 かねてより… […]
[…] そのため、建造船種はバルクからタンカー、コンテナ、更には護衛艦など多岐に渡り、その規模も中型から大型船まで対応しております。なお、設備そのものが大型船建造を目的に作られたものがほとんどで、中型船建造拠点だった舞鶴は艦艇修繕に特化することが発表されるなど、今後は大型船へ完全にシフトするといえるでしょう。 […]