NSY(日本シップヤード)は何を作った?2025年の建造船を解説

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2021年に誕生した日本シップヤード(NSY)。

日本最大の造船企業である今治造船と、国内第2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)の両社が設立した合弁会社は、営業から製品開発、そして機能設計までを担っています。

そして、その後の建造を担うのが両社の各造船所であり、これまで受注を逃していたロット発注(大量発注)を受けることが可能となりました。

今回は2025年に竣工した両社の各工場、各造船所から、どのような船舶を建造したのか見ていきましょう。

※企業HPより

船-引合から解船まで
船-引合から解船まで

~お品書き~

JMU

2026年現在、JMUは有明、呉、津、舞鶴、横浜(磯子、鶴見)、因島の計6事業所を有しています。

その設立や歴史については別投稿の記事をご覧ください。

JMU:最長の歴史を持つ新生児?
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商船建造は有明、呉、津の3か所が基本的に行っています。

その他、舞鶴は官公庁船向けの修繕所、横浜の2工場は同じく官公庁船艇の建造や修繕を行っています。また、因島は官民両方向けの修繕事業所となっています。

有明事業所

熊本県にある有明事業所は大型ドック2基にて商船建造を行っています(1号ドック:620m*85m。2号ドック:420m*85m)。

2025年に竣工させたのは6隻で、内訳はタンカー2隻とバルカー4隻です。

タンカーは30万DWT級のVLCCと、16万DWTのスエズマックス級であり、バルカーは18万DWT級のケープサイズが4隻となっています。

またドックの長さに余裕があるので、複数隻の同時建造も行っていることと思います。

同工場はタンカーとバルカーの建造が主といえます。

呉事業所

広島県にある呉事業所は建造ドック2基と修繕ドック1基の計3基を有しています(第2建造ドック:340m*65m。第3建造ドック:508m*80m)。このうち、修繕ドックは艦船向けとなっています。

2025年の竣工は9隻で、内訳はコンテナ船5隻とバルカー3隻です。

コンテナは12,800TEU×2隻と3,055TEU×3隻、バルカーは8.2万DWT級のパナマックスバスカーが4隻です。

同事業所は世界最大級の24,000TEUコンテナ船を建造したこともあり、JMUとしてコンテナ船の建造拠点となりつつあります。

津事業所

三重県にある津事業所は建造ドック1基と修理ドック1基の計2基からなる造船所で、建造ドックは両開き式のため1.5隻の同時建造が可能です(建造ドック:500m*75m)。

また修理ドックでは「修理ドックを活用した “ファイナルドック”(試運転&引渡し前に行う外板塗装などの最終仕上げ工程)」を行うなど、修繕事業そのものはあまり行われていないと予想されます(※出所:公式インスタグラム)。

竣工数は8隻で、16万DWT級のスエズマックスが4隻、バルカーは21万DWTのケープサイズが4隻です。

同工場はタンカーとバルカーの建造が主といえます。

まとめ

JMUは上記3事業所にてバルカー12隻、タンカー6隻、コンテナ5隻の計23隻を竣工させたことになります。

中手造船所が得意とするハンディサイズバルカーは建造せず、パナマックスやケープが多いのは特徴的ですね。これは、JMU設立前に各社がVLCCの連続建造を目的に新設したドックであり、中小型船の建造が困難なことが理由にあります。

一方、それらドックの目的であったVLCCの建造は1隻のみで、その他タンカーはスエズサイズとなっています。もちろん、これだけのタンカーを建造できるのは同社程度で、1ドックしかない企業では不可能と言えます。

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今治造船

今治造船は自社工場4か所(今治、丸亀、西条、広島)のほか、グループ傘下の岩城造船、しまなみ造船、新笠戸ドック、あいえす造船、多度津造船、南日本造船の6社からなります。

その歴史については別投稿の記事をご覧ください。

今治造船~国内最大の船の百貨店~
今治と聞くと何を思うでしょうか?しまなみ海道や来島海峡、あるいは今治城など有名な観光地もあり、また昨今ではかなり有名になった今治タオルもありますね。 さて、世界の造船市場において、今治は日本最大の造船産業地域として知られております。特に国内建造量1位の今治造船は瀬戸内を中心に展開しており、世界市場で唯一戦えている企業でもあります。 ちなみに、企業シンボルは$(ドルマーク)と似ていることから、船主には「お金を運んできてくれる船」と評判です。 ここでは、今治造船の社史やそのグループ規模、建造船種、戦略などを紹介します。

今治はJMUと異なり官公庁船向け船舶の建造は行っていません。また修繕専門の造船所もなく、すべて商船建造のための造船所となっています。

同じく、JMUが各大手造船事業者の合併であった一方、今治は瀬戸内の各造船所をグループ化したことから、各企業も距離の上ではそれほど離れてはいません。

出所:今治造船HP

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自社工場

今治工場

今治工場は船台1基とドック1基の計2基があります(第1号船台:166m*28m。第2号船渠:217m*43m)。

2025年には12隻が竣工しており、内訳はバルカー10隻とコンテナ2隻です。

コンテナは2,080TEUが2隻、バルカーは4万DWT級が7隻と6.4万DWT級が3隻です。

なお、1号船台は2.8万DWT級バルカーまでしか建造できず、昨今ではブロックや資材置き場になっているのではと思われます。

丸亀事業本部

丸亀事業本部は今治工場では建造できない大型船の建造を目的に新設した工場であり、大型船建造の拠点と言えます。

建造ドック3基で、うち1基は国内で17年ぶりに新設されたドックとして大々的に報道がなされました(第1号船渠:270m*45m。第2号船渠:370m*57m。第3号船渠:610m*80m)。

竣工数は5隻で、7,000台積みPCC(自動車運搬船)が2隻と、14,000TEUコンテナ船が3隻です。なお、竣工隻数から、おそらく第1号船渠はブロックや資材置き場になっていたと予想されます。

※新ドックの完成と近隣の多度津造船を系列化したことで、生産効率の面でドック2基で稼働しているのかもしれませんね。

西条工場

西条工場もまた大型船建造のために新設した造船所で、他の工場がバルカー中心であった一方、同社はVLCCの建造を意図して新設されたということができます。事実、国内中手として、そして今治造船として初となるVLCCの建造を行いました。

建造ドックは1基のみで(420m*89m)、竣工隻数はケープサイズバルカー7隻でした。

広島工場

上記と異なり、広島工場は系列化した幸洋船渠を自社工場としたものです。なお、ほかにも系列化した企業が多数あるものの、自社工場としたのは本件のみです。

※幸洋船渠はもともと中手では珍しくLNGガス船やコンテナ船を建造しており、高度な技術を有することから直接自社工場としたと思われます。

建造ドックを2基を有しており(第1号造船船渠:378m*59m。第2号造船船渠:382m*56m)、竣工隻数はコンテナ船4隻となっています。なお、1隻は6,000TEU、残り3隻は140,000TEUです。

岩城造船

岩城造船は建造用船台1基を持つ、いわゆる1社1船台の中手企業そのものといえます(第1号船渠:215m*38m)。

グループではバルカー建造の拠点となっており、主として6.4万DWTのハンディマックス級の連続建造を行っています。

竣工隻数は9隻で、そのすべてが6.4万DWTバルカーです。

しまなみ造船

しまなみ造船も同じく建造用の船台1基を持つ造船所で、グループでは4万DWTバルカーの建造拠点となっています(第1号船台:200m*34m)。

竣工隻数は6隻で、すべて4万DWT級のハンディバルカーです。

新笠戸ドック

新笠戸ドックはもともとドック2基で修繕を行う造船所でしたが、グループ参加後にドック1基を新造船用に変更しています(新造 第5号船渠:255m*50m。修繕 第3号船渠:227m*37m)。

竣工隻数は7隻で、すべて6.4万DWT級のハンディバルカーです。

また、後述する南日本造船所を子会社化しています。

あいえす造船

あいえす造船は倒産した波止浜造船と西造船を合併して誕生した企業で、船台1基にて新造船事業を行っています(船渠:212m*36m)。

グループではバルカー建造の拠点であり、主として4万DWT級を建造しています。

竣工隻数は7隻で、4万DWT級ハンディバルカーが4隻と、3.700DWT級のRORO貨物船が3隻です。

多度津造船

あいえす造船の元となった波止浜造船が持つもう1つの工場がこの多度津造船所でした。波止浜造船の倒産後、同社は常石造船に買収され、その後今治造船に買収される経緯を持っています。

造船所は丸亀に近隣しており、ドック1基にて新造を行っています(第1号船渠:380m*60m)。もともとVLCCの建造を意図して作られた工場であったものの、建造はバルカーやPCCなどとなっています。

竣工隻数は3隻で、すべて7,000台積みのPCCです。

南日本造船

グループでは最西に位置する南日本造船は、建造ドック2基を有しています(第1号船渠:321m*51m。第2号船渠:295m*51m)。

竣工隻数は4隻で、6.4万DWTのハンディバルカーが2隻と、5.3万DWTのプロダクト兼ケミカルタンカーが2隻です。

まとめ

今治造船グループとして、2025年竣工隻数は64隻となります。そのうち、バルカーが45隻と大半を占め、そのほかコンテナ船が9隻、PCCが5隻P/Cタンカーが2隻、RORO貨物船が3隻でした。

バルカーでは4万DWTが17隻、6.4万DWTが21隻、ケープサイズが7隻であり、やはりメインはハンディバルカーと言えます。

終わりに

2025年の日本全体での竣工量は約10百万総トンであり、NSYは約527万総トンと、日本全体の約半数を建造したこととなります。

建造船種を見ると、日本企業がメインとするバルカーを中心に、コンテナ船やタンカー船などを建造していることがわかりました。

ハンディバルカーは今治造船本社とあいえす、しまなみ、岩城、新笠戸のグループ各社が担当していました。旧パナマックスは今回JMU呉のみが建造しており、ケープサイズは今治の西条とJMUの有明、津が建造していました。

一方、NSYの強みともいえるコンテナ船のロット受注について、今治造船では広島、丸亀が建造し、JMUでは呉が中心的な役割を果たしていました。大陸間用の世界最大級となる2.4万TEU級を建造したこともある中、今治では2,080TEUのコンテナ船を建造するなど、大小さまざまな船型を建造できるのは特徴と言えますね。

タンカーについてはJMUのみが担当しており、かつてのお家芸だったVLCCは1隻のみでした。

ガス船は建造がありませんでしたが、それ以外の船種はほとんどすべて建造していたように、フルラインの生産体制を敷いていることがうかがえます。

 

今回は2025年の竣工船をまとめてみました。ほかの企業についても見てみたいですね。それでは。

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